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おすすめ書籍:桝野俊明『禅と禅芸術としての庭』

曹洞宗の僧侶であり、庭園デザイナーでもある著者による、禅庭論。
禅の庭とは
・禅の到来以前の庭は、たんに眺める対象、あるいは使う対象とした庭園であった。しかし、禅の思想は、これまでにはなかったかっきてきな考え方を庭園に持ち込んだ。それは、心の内に見、心の内なるものを無限定に表現することである。
禅とは何か、という基本的な説明から始め、禅の庭について考察を深める。
毎日新聞社 本体1905円(税別) 2008年4月
*禅の芸術、禅の庭園についての論は数多い。しかし、歴史と思想の両面から禅の庭について総合的に述べたものは数少ない。
本書は、その両面を通して禅に庭について考察を加えたものである。
禅の庭は哲学的で難解である。実際には禅は非常に簡単なことしか言ってはいないのであるが、近代以後、禅に関する言説は非常に難解なものになってしまった。そして、誤解も多い。
例えば、これも最近出版された、上田篤『庭と日本人』(新潮新書、2008年1月)の中の禅の庭に関する記述は良くない。
そもそもこの書の文章は、全体に渉って独りよがりで分かりづらいものであるが、特に禅の個所は悪い。この作者はあまり禅に造詣が深くないのであろう、誤字と破滅的な誤読が見られる。
それに較べて、本書は禅僧が執筆したものであるから好感が持てる。
本書の内容は、タイトルから受ける印象とは異なって、禅の庭園の形成史が中心で、思想的な考察は少ない。したがって禅の庭の魅力を正面から分析、あるいは語ったものではない。
ただし、筆者もまた、先の上田氏と同様、禅学を専門にしていた方ではないので、禅宗史の記述に不安を残す。そのせいか、禅宗史の説明が冗長で、自分の血肉になっていない印象をうける。
しかし、禅の庭園が如何にして形成されていったのか、ということを知るにはにまとまっていて良い。総合的に禅の庭園について知りたい人には良書と言えるでしょう。
投稿者 sougen : 2008年06月05日 19:28
