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おすすめ書籍:水上勉『土を喰う日々ーわが精進十二ヶ月ー』
生きる為には食せねばならぬ。では「食」の本質とは?
著者は少年の頃、京都の禅寺で精進料理のつくり方を教えられた。畑で育てた季節の野菜を材料にして心のこもった惣菜をつくる。
本書は、そうした昔の体験をもとに、著者自らが包丁を持ち、一年にわたって様々な料理を工夫してみせた、貴重なクッキング・ブックである。と同時に、香ばしい土の匂いを忘れてしまった日本人の食生活の荒廃を悲しむ、異色の味覚エッセーでもある。
禅の教えは日常生活のいたる所に見いだせる。その最たるものが「料理」だ。よって道場では殊の外料理の方法についてうるさく言う。その役も、長い間修行したものしか請け負えない。それだけ難しいのだ。
著者は回想するー
九歳から京都へ出て、小僧になった相国寺の瑞春院も、不思議と孟宗藪にかこまれていた。和尚は、やはり、五月がくるとトンガをもって、ぼくと筍掘りをやった。
「地面に出とるようなのは堅いでな」
と和尚はいったものだ。
(中略)
和尚はこれ(筍)を藪の中でむくようにと命じた。台所へ持ち帰って皮をむけば、また、捨てにゆかねばならぬ労力を省いたわけだが、
「肥やしになるでな」
というのが口ぐせだった。皮もまた肥料になるべく、くさるのである。
生命あるものを「いただく」、感謝する。料理とは「いのち」を工夫することなのだ。
新潮文庫、420円。
投稿者 sougen : 2006年03月26日 19:23
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