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コラム(6):彼岸

今日から春分の日をはさむ一週間はお彼岸です。
日本での彼岸の起源は古く、『日本後紀』第十三、大同元年(806)の条に、既に彼岸会が行なわれていたという記録が見えます。
春分・秋分の日を中日として彼岸が行なわれるのは、その日は太陽が真東から出て真西に沈むからで、その太陽が沈む場所こそが、阿弥陀仏のいらっしゃるお浄土です。つまり、お浄土のある場所を正しく見つめることの出来る日が彼岸の中日なのです。
因みに、我々が現在暮らしている世界のことを「此岸」、阿弥陀仏のいるお浄土を「彼岸」というので、この時期のことを彼岸と言うようになりました。
「彼岸」の本来の意味ですが、彼岸は梵語でparamita、漢語で「波羅蜜多」と訳します。有名な『般若心経』中に見える「摩訶般若波羅蜜多」の「波羅密多」がそれです。「波羅密多」は正式には「到彼岸」、つまり、涅槃寂静の世界に到達するということです。
さて、皆さんはお彼岸には亡くなったご家族が皆さんのお宅に帰って来る時期と思われているのではないですか?しかし、本当は、上記の通り、「此岸」にいる皆さんが「彼岸」を想う期間なのです。
お彼岸に涅槃寂静にいらっしゃるご家族を想い、御供養をすることは当然ですが、それと同時に皆さん自身が普段の生活を見直し、正しい生活を志すことも必要なのです。
そして、その方法は、①布施、②持戒、③忍辱、④精進、⑤禅定、⑥智慧、の六つです。この六つを「六波羅密」と言って、これは仏教を信じる人々の基本的な生活徳目です。
①の布施とは、見返りを期待しない贈り物のことです。これは金品の「布施」だけでは無く、身近な方に優しい言葉をかけてあげたり、笑顔で接する、といった行為も含みます。
②の持戒とは、仏教の戒律を守ることです。これは、次の五つです。まず、殺生をしないこと、第二に盗みをしないこと、第三に淫らな行為をしないこと、第四に嘘をつかないこと、第五にお酒を飲まないこと、です。
③の忍辱とは、堪え忍ぶことです。例えば電車に乗っていて足を踏まれたとしても、カッとせずに我慢し、相手を許してあげることなどです。それに笑顔を返してあげることが出来れば、布施も実現しますね。
④の精進とは、努め励むことです。お仕事に就かれている方は怠惰な態度を改め、一心に仕事に励まねばなりません。
⑤の禅定とは、坐禅のことですが、実際に坐禅を組まなくても、心を静かに落ち着かせることだけでも結構です。
⑥の智慧とは、正しく事物の本質を見極める英知のことですが、先の五つを実践すれば、自然とこのような智慧は具わってくるでしょう。
どうですか?実践出来そうですか?
しかし、お彼岸を迎えるに当たって、普段の生活を見直し、このような六つの徳目のどれか一つだけでも実現出来るように、皆さんも努力しましょう。
それがお彼岸のもう一つの目的なのですよ。
投稿者 sougen : 2006年03月18日 13:58
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